旅の途中

気がつけば、手紙はおろか文字を記す機会も随分と減ってしまっている。
たいていのことは、メールで済ませてしまっている。
僕の中の感覚ではメールをすることは話し言葉の延長であって、けっして書き言葉にはなりえない。
相手の表情を見ることもなく声も聴くこともないメールに用いられる話し言葉は、どこか空虚な気がしてならない。
じっさいこうしてパソコンのモニターに向かいキーボードを打っているときも、書いているという感覚は乏しいのだ。
しかし、辺境の離島から世界中にメッセージを発信できるインターネットの便利さを、 もう手放すことはできないだろう。