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旅の途中

水平線の もっと向こうへ

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退色復元
hutong
location:
Hutong, Beijing, China.

早朝5時。
セットした3つの目覚まし時計がけたたましく鳴りはじめた。
毎年1月17日には、早朝に起きて5時46分に黙祷をしている。
ほんとうは気持ちが落ち着かなくて、目覚まし時計が鳴るよりも先に眼を覚ましていたのだけれど。
もっとも神戸の事はいつも脳裏をよぎっているので、毎日のように黙祷をしているようなものかもしれない。
先日の記事で撮りためたネガのスキャンをしている事を書いたのだけれど、使っているスキャナーに「退色復元」という機能があって、よく使っている。
石垣島の塩気を含んだ強い湿度の中でほったらかしにしておいたので、思いのほかネガの劣化が進んでいるようだ。

ネガの色素も、記憶も、経年劣化してゆくものなのだろう。
せめて自分なりにできる事といえば、退色したネガの色素を復元して
記憶を風化させないように努力してみることぐらいなのかもしれない。

写真は2002年の冬に訪れた北京の天安門広場に程近い、胡同という下町で撮ったものだ。
北京オリンピックまでには観光のために一部だけを残し、他はすべて取り壊され近代化されたビルが建つのだという。
1998年の夏に初めて訪れた胡同は、むせ返るほどの人いきれが路地裏まであふれていたのに、2002年の冬に訪れた胡同は、再開発が進み人通りもまばらで、とても同じ街だとは思えなかった。
観光地の寺院などで観光客がファインダーの中に入らない一瞬を狙う撮り方があるけれど、この写真はその逆の瞬間を狙った。

それにしてもどうだろう、この盛大なゴーストは。
Canonの一眼レフで撮ったからなのだろうか。
まるで観音さまの後光のようだ。

神戸に、胡同に、光あれ。
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コメント

1. 無題

そんなあなたを尊敬しているあたしです。

2. Alice*さん江

いえいえ。
自分のできる事をしようとしているだけなんですよ。

3. 你好!

あれから13年。早いですね。
あの当時、僕は神戸に住んでいたわけではないのですが、
あの地震をニュースで知って涙がポロポロ出てきたのを覚えています。
神戸も僕の好きな街です。

北京の写真いい味出してますね!
こういう何気ない日常の写真好きです。
古き良きものがなくなってしまうのは寂しいです…

4. H☆MACさん江

胡同がなくなってしまうのは、ほんとうに惜しいです。何しろ800年の歴史のある街ですから。
世界遺産に登録された云南の麗江に負けないぐらい味わいのある街でした。

胡同や神戸の古い街がなくなっていく過程には、共通点があるような気がするんです。
胡同は絶対的な国の政策によって。
神戸は突然の地震によって。
どちらも下町に暮らす人たちには逆らうことのできない大きな力です。

生まれたときから古い下町で暮らしていた人たちが、いきなり鉄筋コンクリートの高層建築のマンションに住むこと自体に無理があるし、
そのことによって神戸ではたくさんの問題が発生しているんですね。

それが気がかりでなりません。

5. なるほど

そうですね。
芸人さんは旅をして、いろいろ深いところまで見られてますね。
洞察力が半端じゃないです。
とても勉強になります。

神戸の地震のことも、北京の伝統ある街のことも忘れないようにしていきたいですね。

6. H☆MACさん江

ありがとうございます。

自らの中に記憶を刻み付けて、
何がしかの形で人に伝えてゆきたいと思っています。
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